ブックタイトルプレミアムヘッドホンガイド Vol.19

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概要

プレミアムヘッドホンガイド Vol.19

知る人ぞ知るカスタムIEMブランド「qdc」より登場昨年、待望の上陸を果たしたカスタムIEM(インイヤーモニター)ブランド、qdc。最新モデル「NEPTUNE」は、シンプルな設計のエントリーモデルながら、勘所を巧みに押さえたチューニングで、まさに本物を愛する人のためのイヤホンだ。文/野村ケンジお問い合わせ:ミックスウェーブ ??03-6804-1681 http://www.mixwave.co.jp通をも唸らす隠れ銘機エネルギッシュかつ伸びやかさを備えた絶妙なバランスの音 近年、本場アメリカはもとより日本や中国など、新たにカスタムIEMを手がけるメーカーが随分と増えている。そういった数多ある新興メーカーのなかでも高い注目を集めているのが、中国・深センに本拠を構えるブランド、qdcだ。 現在、中国本国のミュージシャン向けカスタムIEM市場で70%以上という圧倒的なシェアを誇っているqdcだが、実はミュージシャン向けにとどまらず、軍や警察向けのミリタリー規格オーディオデバイスやそのアプリケーションの研究開発も行っているなど、高い技術力と開発環境を備える技術集団でもある。そんなqdcが、近年はカスタムIEMだけでなく、ユニバーサルフィット型のイヤーモニターにも力を入れている。そのなかのひとつが新モデルの「NEPTUNE」だ。 フェイスプレートに鉱物のひとつであるマイカが施され、独特の上質感を持つ「NEPTUNE」たが、同じ構成のカスタムIEMが存在するわけではなく、ユニバーサルフィット型のみの展開となっている。また、ドライバー構成はqdcが特注したバランスド・アーマチュア(BA)型を1基のみ搭載するというシンプルな構成となっているのも特徴だ。ケーブルにはスマホ向けリモコンを装備するなど、スマホユーザーに配慮した仕様になっているのもqdc製品としては珍しい。とはいえ、カスタムIEMと同じ2pinの着脱式ケーブルを採用するなど、エントリーモデルだからといって、一切の手抜かりはないところがqdcらしいこだわりだ。 試聴してみると、qdcらしいチューニングの巧みさに思わず感心させられる。フルレンジBAドライバーらしいというべきか、中域のボーカルやギターは厚みのある熱気溢れたサウンドを聴かせてくれるし、ピアノはタッチの強い存在感ある演奏を聴かせてくれる。シングルBAとは思えない、音の厚みだ。同時に、低域、高域の双方に自然な帯域カーブを実現しているのだろう。とてもニュートラルな音色に感じられるのもいい。フルレンジBAでは、エネルギー感は高いもののボーカルが鼻詰まりに聴こえてしまったり、低域の量感やフォーカスがやや甘くなってしまったりとさまざまなクセが表れたりすることもあるが、こと「NEPTUNE」ではそういったデメリットは感じられない。フルレンジBAドライバーならではのエネルギッシュな表現を活かしつつ、3BAドライバーのような音の伸びやかさも感じられる、絶妙なバランスのサウンドがつくり上げられている。また、解像感の高さもなかなかのもので、下手な2BAを確実に凌駕する表現のきめ細やかさを持ち合わせている。はっきりいって、1BAドライバー構成、さらに3万円前後という価格からは想像できない上質さだ。3万円クラスのイヤホンを検討しているユーザーには、大注目の製品だ。114 PREMIUM HEADPHONE GUIDE