ブックタイトルPREMIUM HEADPHONE GUIDE WINTER [Vol. 13]

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概要

PREMIUM HEADPHONE GUIDE WINTER [Vol. 13]

熟練のマイスターが精巧につくりこむ至高の逸品パイオニアのフラグシップ「MODEL X」は、すべて山形県にある東北パイオニアで生産される。正真正銘のメイド・イン・ジャパン。しかもドライバー製造からアッセンブルまで、ヘッドホンづくりのすべての工程を、一人のマイスター佐藤氏がおこなうというから驚き。そのために、当然ながら生産できる量も限定される。まさにプレミアムなヘッドホン。日本のものづくりの矜持が感じられる逸品だ。である佐藤を指名、すべての工程をひとりで行ってもらうことにしました。これによって、設計者が考えたとおりの製品クオリティ、サウンドクオリティを実現できるようになったのです。いちどにたくさんの数を作ることはできなくなってしまいましたが、メイド・イン・ジャパンならでは、ひとつひとつ熟練工が丁寧に作り上げた技の極みも、味わっていただけると嬉しいです」。(瑤寺氏) 今回の記事のために、天童工場を見学させてもらったが、隣のブースには見覚えのあるTADユニットが組み立て途中のまま置かれていたし、何の気負いもなく易々と複雑な組み立てをこなす熟練工の作業を見て、メイド・イン・ジャパンならではのモノづくりの素晴らしさを存分に感じられた。 このように、ハイエンドならではの贅沢なマテリアル選定に加え、組み立て工程についても大いにこだわった「MODEL X」だが、このような最終形に行き着くまでには、様々な試行錯誤が繰り返されたという。「このモデルの開発には、実際のところ5 年以上の年月がかかっています。“音”のパイオニアとして、高級スピーカーを作り続けているオーディオブランドとして、フラグシップにふさわしい製品をどうやって作り上げるか、様々な検討を行いました。たとえばドライバーユニットは、振動板形状のシミュレーション、実際にサンプルを作っての比較、素材の検討など、数十にも及ぶテストを行い、その都度、改良を施してきました。個人的には、やっとここまでこぎ着けた、と少し安心しているところがあります。とはいえ(取材時点では)まだ完成形ではなく、いくつか改良していかなければならないところがあるので、改めて気を引き締めているところです」。(今川氏) 実際に、現段階の最新サンプルを試聴したところ、とてつもなくピュアで上質なサウンドが飛び出してきた。音色傾向としてはごくフラットで、ナチュラルさを大切にしたイメージだが、高域にはピンとしたハリがあり、とてつもなくキレがよい。また、フォーカス感も高いため、グルーブ感の高い、ダイレクトな演奏が味わえる。これでまだまだ途中の段階だなんて、信じられないくらい。なお、好評の同社ヘッドホンアンプ「U-05」とバランス接続が可能であることも特筆しておきたい。完成したら、一体どれだけ素晴らしい音が聴かせてもらえるのか、いまから発売が楽しみだ。 そんな筆者のもとに、朗報がひとつ。春頃には「MODEL X」が発表され、プレミアム試聴会が開催されるのだという。会場や時間などの詳細は本誌ツイッターや、WEBサイト「ファイルウェブ」で追ってご案内する予定だ。気になる人は、是非会場に来て、自分の耳で実力のほどを確かめてほしい。期待を裏切らない、上質なサウンドが堪能できるはずだ。お問い合わせ:パイオニア ?0120-944-222/044-572-8102 pioneer-headphones.com1.パイオニア天童工場内には、過去の名機の数々が保存されている。新たなフラグシップヘッドホンも、間違いなく歴史の一部として、ここに残されていくだろう。2.1937年、前身の福音商会時代に手がけたダイナミック型スピーカーユニット「A-8」も展示されている。3.ホームオーディオの歴史を彩るスピーカーの数々も鎮座 4.カーオーディオ用のスピーカーの数々が比較試聴可能。5. 2006年当時、カースピーカーとして最大となる181.4dBの爆音を鳴らして世界記録を樹立したことも。12 34 5熟練のマイスターが一人で全工程を担当!16 PREMIUM HEADPHONE GUIDE