ブックタイトルPREMIUM HEADPHONE GUIDE WINTER [Vol. 13]

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概要

PREMIUM HEADPHONE GUIDE WINTER [Vol. 13]

X10 \OPENSPEC ●型式:バランスド・アーマチュア型 ●再生周波数帯域:5~19,000Hz ●インピーダンス:50Ω ●ケーブルの長さ:約1.25m ●質量:9g ●付属品:イヤーチップ(シングル:S/M/L、ダブルフランジ:S/L)、キャリングポーチ アメリカンスピーカーの老舗、Klipsch(クリプシュ)。イヤホン市場への進出は同社の歴史からすれば最近だが、シングルのバランスド・アーマチュア(BA)・ドライバー構成で実現した流線形の小型ボディという唯一無二の個性を、高い完成度で見せつけた「Image X10」は定番と呼ぶにふさわしい名機だ。その「X10」が手頃な価格で復刻となればその魅力、それに続いたシリーズの魅力を再確認するよい機会だ。今回はシングルBAドライバーの持ち味が発揮される「ジャズ」を聴いてみよう。 まず、現代のピアノ・トリオ「ヘルゲ・リエン・トリオ」は、クールに研ぎ澄まされた演奏と録音が特徴的だが、X10で聴くとそれが少し和らぎウォームになる。ただ、そのおかげでドラムスの皮の緩ませ具合といったまた別の音色感、彼らの演奏タッチの魅力がより明瞭に届いてくる。空気感や気配感の細やかさや自然さ。これはシングルのBAドライバーである本機ならではの「さりげなくすばらしい」表現だ。その空気感や気配感の自然さは、サラ・ヴォーンのライブ音源でもさらに強く発揮される。ライブ録音なので観客、そして機械的な様々な雑音が混在するが、それを耳障りではなく心地よく整理された雰囲気にしてくれる。すると自然と主役のボーカルに意識が向き、そしてそのボーカルの表現はそれこそ本機の得意分野だ。文句なし。ジョー・パスのソロギターも同じく、人の声やギターの帯域での質感や微妙な抑揚の表現はもう、「さすがX10!」というしかない。 現在のフラグシップ「X11」は、X10より少し明るく少し硬質な音色感が持ち味。ライブや録音会場の照明が少し明るくなって演奏者の動きや手元がよく見えるような印象だ。ミドルクラスの「X7」はセラミック製の新形状筐体のフィット感が素晴らしい。音調はこちらもやや硬質で、そしてクールな印象。より現代的なサウンドといえよう。ヘッドホンの「STATUS」はウォームさはX10と共通だがよりスモーキーな雰囲気だ。 ジャズもまたクリプシュと同じ「アメリカンな音(音楽)」の代表。お互いの魅力を引き出せると踏んでいたが、実際にそれを確認できた。加えて、分岐して独自の進化を遂げた現代北欧ジャズまでへの対応力。他にも多くの選択肢はあるが「ジャズを聴くならクリプシュ」はやはり、有力な選択肢としてお薦めしたい。X10はジャズの空気感や気配感をジャズ自然にの描写する甘美な クリプシュのイヤホンは投 票No.10662 PREMIUM HEADPHONE GUIDE