ブックタイトルPREMIUM HEADPHONE GUIDE vol. 14

ページ
66/126

このページは PREMIUM HEADPHONE GUIDE vol. 14 の電子ブックに掲載されている66ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

概要

PREMIUM HEADPHONE GUIDE vol. 14

お問い合わせ:フロンティアファクトリー http://www.klipsch.jp/ 2011年の販売終息を経て昨秋復活を遂げた「Klipsch X10」は、バランスド・アーマチュア(BA)・ドライバーがまだ珍しい2008年に登場した製品。緩く弧を描いていた入力プラグは直線状に変更されたものの、シングルBAドライバーという構造はデビュー当時から変わらない。デュアル/トリプルBA搭載機が増えている昨今、敢えてそのまま再発売した理由はなにか。 ひとつは、クリプシュの“ 音” に対する自信であるに違いない。一般的なBAドライバーの半分ほどのサイズしかない「KG 926」の現在でも通用する性能、設計の確かさもあるが、スピーカー開発で培った完成度を追い込むセンスは定評あるところ。結局は人の聴覚に訴える感性の製品であるだけに、アコースティックな部分での微妙な作業が印象を決めるというわけだ。 イヤホンとしての方向性の正しさもある。“小が大を兼ねる”このカテゴリー。後にも先にもX10より小型の製品を見つけるのは難しいほどで、しかも優美なスタイルにまとめられている。数百年前に製造された楽器がいまなお現役という事実を踏まえれば、同じく音を奏でる存在なだけに、長きにわたり普遍的な輝きを放つとしても不思議はない。イヤホンの基準となる存在、いまなお深い充足感を得られる製品であることは、数分も試聴すればわかる。精緻な音の輪郭と制動感、低域から中高域にかけてのつながりのよさは格別だ。小柄なだけに耳穴の負担も少ない。どこか特別ななにかを感じるのは、作り手の気概であり情熱であり、それが復活の理由でもあるのだろう。2008年に発売して人気を博し、昨年アジア限定で復刻した名機「X10」。当初、いちはやくBAドライバーを搭載したモデルとしても注目されたが、そのドライバー「KG 926」は、X10専用に小型化したもので、さらに音質も独自チューニングした特別なものなのだ。今回は名機たる所以を、ドライバーに注目して解説していこう。文/海上 忍 写真/田代法生クリプシュの“BA”は小型でいい音バランスド・アーマチュアSPEC ●型式:バランスド・アーマチュア型 ● 再生周波数帯域:5 ~ 19,000Hz●インピーダンス:50Ω ●ケーブルの長さ:約1.25m ●質量:9g ●付属品:イヤーチップ( シングル:S/M/L、ダブルフランジ:S/L)、キャリングポーチ\OPEN 投 票No.089 X10 Klipsch販売を終了した後も根強いファンがいたX10。その音質を支えたのが、オリジナルチューニングを施したBAドライバー「KG926」だ。原音に忠実。そしてボーカルの繊細な響きまで再現する高い表現力を持っている。独自チューンのBA「KG 926」極上の装着感も魅力Check発売当時「世界最小、最軽量」を謳ったX10は、耳の奥まで入る超小型サイズ。耳の穴の形に合わせた楕円形イヤーチップ「Oval Ear Tips」を同梱するので、その装着感は一級品。イヤーチップも独自設計スピーカー開発で培われたセンスが活きるカナル型イヤホン66 PREMIUM HEADPHONE GUIDE