ブックタイトルPREMIUM HEADPHONE GUIDE vol. 14

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概要

PREMIUM HEADPHONE GUIDE vol. 14

 ハイレゾ時代のイヤホンに求められる要素とはなんだろう。ハイレゾのわかりやすい特長としては「超高域までの再生」が挙げられるが、実はそこは必須というほどではない。必要十分な低域から高域までをバランスよく再生でき、細かな音まで取りこぼさない解像感を備えていること。イヤホン側で音のバランスを崩してしまうことなく、音源に込められた情報量を綺麗に届けてくれること。そちらの方も大切だ。 するとその条件を満たす候補として多く挙がってくるのは、低域から高域までのそれぞれを担当する複数のバランスド・アーマチュア(BA)型ドライバーを搭載したマルチBA型モニター系イヤホンだ。そのタイプの定番といえばシュア「SEシリーズ」である。ただ、決して新製品でもないしハイレゾロゴを取得しているわけでもない。しかしロングセラーだからこそ評価は安定。またその後、このジャンルのハイエンド機がよりBAドライバーの数を増やす方向に進んだことを考えると、2ウェイ3ドライバーの「SE535」や3ウェイ4ドライバーの「SE846」は、この時点でのBAマルチタイプのまず一旦の完成系と言える存在なのかもしれない。「SE535 Special Edition」は無印「SE535」の高域を再調整してシャープさや解像感を少し強めたモデル。シャープさを追求したイヤホンは数多くあるが、ベース機の聴き疲れの少なさを生かしつつ明瞭度を高めたそのバランスが他と異なるポイントだ。ギターの歪み具合、特にピッキングの強さなどによって操られた音色変化など、演奏表現への追従性もハイレベル。ドラムスやベースの低音はぼわんと膨らまないタイトさを備えいてしなやかさもある。「SE846」は、低域を2ドライバー構成とし、電気回路ではなくアコースティックなフィルターで純度の高い低域を抽出している。ベースやドラムスの音本体の再現性はもちろんだが、そこから響き広がる低音の「空気感」の再現力にも注目してほしい。空気感もハイレゾの醍醐味だ。高域は綺麗に伸びているが伸びた先で柔らかくほぐれるので、シャープさとしなやかさをあわせ持つ。女性ボーカルの息づかいや気配感、ハイハットシンバルの抑揚の機微、それが生み出す繊細なグルーヴといったところに力を発揮する。 共通するのは、ハイレゾに応える豊かなニュアンスや情報量を備えつつもリスナーを疲れさせない音。ここはプロの長時間の使用も想定してのチューニングかもしれない。そうした音づくりは個性や強みになる。「SEシリーズ」はいまもBAマルチタイプのスタンダードのひとつたり得るのだ。ハイレゾ音源の高い情報量をしっかり伝える表現力をもつハイレゾ時代になって輝くシュア「SEシリーズ」の魅力いちはやくBAドライバーを搭載し、高解像度サウンドの潮流をつくった「シュア」。そのサウンドは高い評価を得ており、多くのファンを魅了している。ハイレゾ時代になってますます輝きを放つシュア「SEシリーズ」の魅力を解説しよう。取材・文/高橋 敦  写真/田代法生SE846ShureSE535ShureSpecial Editionお問い合わせ:完実電気 ?050-3388-6838 http://82 PREMIUM HEADPHONE GUIDE kanjitsu.com/shure