ブックタイトルPREMIUM HEADPHONE GUIDE vol. 14
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PREMIUM HEADPHONE GUIDE vol. 14
1 振動板は軽量かつ剛性の高い25μ厚のアルミニウム製。表面に高硬度のセラミックス皮膜を形成させる「PCC処理」を施し、エッジ部には「PEEKフィルム複合材」を採用。内部損失が高く、分解能に優れた歪みの少ないサウンドを実現する。2 すべてシリアルナンバー付き。正真正銘メイド・イン・ジャパンで1台1台、熟練工の手により丁寧につくりあげられる。3 イヤーパッドは人間工学を追求して、後頭部側が厚く、頭部にフィットしやすい形状になっている。4 高級カーオーディオ「カロッツェリア」で培ってきた音響技術を応用した「フルバスケット方式」を採用。ユニットを背面から抱え込んでベース部に固定することで、共振を低減させ、音の輪郭を明確にする。 この「SE-MASTER1」はパイオニア渾身の力作である。技術的特長は枚挙に暇がない。オープンエアー型ダイナミック(前面密閉・後面開放)というユニークなハウジング構造を採用。カロッツェリアで培った「フルバスケット構造」でインストールされる心臓部のドライバーには、大口径50mm、厚さ25μのアルミニウム振動板を新規に開発、マグネットは強力なネオジウムである。オプションの別売ケーブルを使えばXLRバランス入力にも対応する。これだけ大型のヘッドホンなのに装着感は軽快そのもの。ふわっと軽い。高級素材を奢ったイヤーパッドや超ジュラルミン素材で軽量化を果たし存在を感じさせないハンガー部の工夫もあるが、2種類のテンションロッドを付け替えることのできる側圧コントロールとヘッドクッションの存在が大きい。ユーザーの身体条件や装着感の好みに合わせてきめ細やかなカスタマイズができる。セミオーダーのヘッドホンといえよう。 それではさっそく試聴してみよう。パイオニアのヘッドホンアンプ「U-05」と組み合わせた。CDの同軸デジタル入力は圧巻のワイドレンジ。『アンナ・マグダレーナ・バッハの音楽帳』のトリプルハープ開放弦の深々とした振動が、聴き手の体を足下まで振るわせる。ヘッドホン=鼓膜入力、頭内定位という常識を覆す迫力だ。さらに打ちのめされたのが、オペラアリア『ヒロイン?ヴェルディ・アリア集/アンナ・ネトレプコ』(FLAC96kHz/24bit)だ。オペラ歌手は体全体を楽器として使い歌劇場を貫く声を出す。本機で聴くとステージにすっくと仁王立ちし全身で発声する本物のネトレプコがそこにいる。相当にいいスピーカーシステムを正しくセッティングしてようやくこの実在感が生まれる。それがヘッドホンで得られるのだから驚きだ。決定的体験はビル・エヴァンス・トリオの名盤『ワルツ・フォー・デビー』(FLAC192kHz/24bit)。ジャズ再生の真髄はミュージシャンの技芸をクローズアップして間近に聴くリアリズムにある。SE-MASTER1は持ち前の解像力でハイレゾファイルに蘇った演奏の隅々まで時空を越えて瑞々しく描き尽くす。ミクロ的な表現だけでない。前面密閉・後方開放構造の恩恵でヘッドホンにして演奏空間の原寸大の広がりと奏者の肉体を感じさせトリオのインタープレイの〈熱気〉まで連れてくる。 ヘッドホンで楽しむオーディオは、すでにバーチャルでも〈もう一つのオーディオ〉でもない。往年のオーディオファンにこそ、ここにしかない価値をぜひ体感してほしい。往年のオーディオファンにこそ、知ってほしい名機お問い合わせ:オンキヨー&パイオニア イノベーションズ ?0120-944-222 pioneer-headphones.com日本を代表する伝統と革新のオーディオブランド、パイオニア。その技術の粋が集まる山形県天童市の東北パイオニア工場で、熟練のマイスターによって生み出される、至高のプレミアムヘッドホン。いま聴くべき、至高のフラグシップ。ヘッドホンサウンドの頂を、大橋伸太郎氏がレポートする。同じくパイオニアのUSB DAC内蔵ヘッドホンアンプ「U-05」との組み合わせで試聴。別売のヘッドホンケーブル「JCAXLR30M」により、バランス接続でも音質を検証している。超ジュラルミン材のヘッドバンドとハンガーにより、美しく、軽く、耐久性に優れたボディとしている。ヘッドクッションは3.5mm刻みで14段階調整が可能。さらにテンションロッドは交換式で側圧を最適化できる。ちなみに頭部を支えるヘッドクッションの内側には、スエード調の人工皮革「エクセーヌ」を採用する。文/大橋伸太郎(オーディオ評論家)1 2 34DETAILパイオニア渾身のフラグシップすべて 84 PREMIUM HEADPHONE GUIDE