ブックタイトルプレミアムヘッドホンガイド Vol.15

ページ
82/128

このページは プレミアムヘッドホンガイド Vol.15 の電子ブックに掲載されている82ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

概要

プレミアムヘッドホンガイド Vol.15

1 23 4ドイツのクラフツマンシップが宿る独創のテスラドライバーが第二世代へと進化ベイヤーダイナミック本社に突撃!ベイヤーダイナミック「T 1 2nd Generation」FACTORY REPORTバーデン=ヴュルテンベルク州ハイルブロン市 ベイヤーダイナミックは、マイクロホンからヘッドホン、プロフェッショナルからコンシューマーに渡る様々なカテゴリーで人々の記憶に残る銘機を残してきたドイツを代表する老舗プレミアムブランドだ。ドイツ南西部の都市ハイルブロンには、同社が扱う全製品の組み立てが行われている工場をはじめ、研究開発部門、マネージメント部門が集まる本社があり、創立者であるオイゲン・ベイヤー氏のスピリットを継承する約350名の従業員が勤務している。 製造工場では一人の熟練したスタッフがハンドメイドで製品を組み立て、品質テストまで担当する「ワンピースフロー」によるセル生産方式が採用されている。一人のスタッフが製造フローを熟知することで、生産需要の増減に応じてフレキシブルに人員が配置できる体制を敷く。工場内で稼働するフルオートの製造機械や品質検査の機械についても、全てベイヤーダイナミックが自社開発したものが使われる。そこからは独自の製造ノウハウがいくつも生まれてきた。 そんな同社の代表モデルといえば、2009年に発売されたフラグシップヘッドホン「T 1」だ。ハイエンドクラスのオーディオヘッドホンの先駆けとして、多くのファンの記憶に刻まれる銘機である。その音楽が演奏された空間をそのまま切り取ってしまったようなピュアでリアルなサウンドは、「1テスラ(1万ガウス)」を越える強力な磁束密度を生み出す独自の「テスラテクノロジー」が支えている。 初代モデルの成功を継承しながら、6年の歳月を経て完成した「T1 2nd Generation」には最新世代のテスラテクノロジーが採用されている。振動板に改良を加え、ドライバーユニットの構造体であるバッフルにより強固に装着したことで共振を低減。より深いピストンモーションを確保して、再生帯域やダイナミックレンジの底力を高めている。高域のピーク特性や、聴感上の低域の再生バランスも改善されたことで、さらにユニフォーミティの高い、リラックスできる安定したサウンドに仕上がった。雄大なオーケストラが描く広々とした情景や、ボーカリストが目の前に現れるような臨場感は、本機でしか味わえない醍醐味といえるだろう。ケーブル交換も可能となり、バランス対応のDAC内蔵アンプなど、様々なオーディオ機器と組み合わせの妙を楽しめるようにもなった。ドイツのクラフツマンシップが詰まった、長く愛し続けられる、本物の逸品。ぜひ、その魅力を味わい尽くしてほしい。1. ハイルブロンに拠点を構えるベイヤーダイナミック。2. 社長のヴォルフガング・ルックハルト氏。エンジニア出身で、愚直に良質な製品を世に送り出してきた歴史に敬意を表しながら、ユーザー本位のものづくりを徹底継承してきたと語る。3. 同社でハイエンドヘッドホンの開発を担当するクラウス・ハンセルマン氏。「より温かみがあり、輪郭のはっきりした低域」「スムーズでなめらかな高域」を実現するために、テスラドライバーを第二世代へとブラッシュアップした。4. こちらが「T 1」のアセンブリーステーション。パーツ単位での組み立て、そして品質チェックも一人の担当者が責任を持っておこなう。82 PREMIUM HEADPHONE GUIDE