ブックタイトルプレミアムヘッドホンガイド Vol.15
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プレミアムヘッドホンガイド Vol.15
ハイレゾプレーヤーの先駆者的ブランド「Astell & Kern(アステル&ケルン)」と、世界で初めてダイナミック型ヘッドホンを開発した「beyerdynamic(ベイヤーダイナミック)」がコラボ。原音再生を追求して全てが磨き上げられたハイエンドイヤホンの魅力を解説しよう。取材・文/中林直樹(オーディオ評論家) 写真(メイン)/井上良一 ハイレゾファイルの再生に対応したポータブルプレーヤー。こうした呼び名が、原稿の書き出しで通じるほど、メジャーになったのはアステル&ケルンというブランドのおかげかもしれない。CDという小さな器に依拠せず、主にインターネットを介して入手できる、ハイレゾ楽曲。それはミュージシャンを始め、制作サイドが意図した音に限りなく近いとされる。そんなハイレゾシーンを牽引してきたのが、アステル&ケルンだ。ポータブルタイプのプレーヤー「AK100」でこのシーンに本格参入したのは2012年のこと。以来、数々の小型プレーヤーを送り出してきた。そこで培ったのは、プレーヤーとしての品質、使い勝手、インターフェースなどだったはずだ。事実、新製品が登場するたび、それらはブラッシュアップされている。さらに、組み合わせるヘッドホンについてもどんなものが適合するか検討を重ねていったことは想像に難くない。 前置きが長くなったが、そんなハイレゾシーンを切り拓くブランドが新しく世に問うのが「AK T8iE」である。モデル名にAKを冠しているが、ドイツの名門ブランド「ベイヤーダイナミック」(以下、ベイヤー)とのコラボによって誕生した製品である。ベイヤーは1924年創立の老舗ヘッドホン/マイクロホン専業メーカー。近年ではドライバーユニットに内蔵したマグネットの磁束密度を飛躍的に高める「テスラテクノロジー」を開発。同社のハイエンドモデルを筆頭に展開している。このAK T8iEにはそんなテスラテクノロジーをイヤホンとして初めて採用した。ここからもポータブルプレーヤー、そしてイヤホンシーンにおける両社の力の入りようが伺える。そこにはコラボ、と簡単に片付けられない戦略が見え隠れしているのだ。 ドライバーユニットは11mmの振動板を搭載したダイナミック型を1基。バランスド・アーマチュア型などと組み合わせたハイブリッドタイプが、トップエンドモデルには多いが、いたずらにそれに迎合してはいない。それがブランドの自信であり、テスラテクノロジーの可能性を徹底的に追求する姿勢でもあるのだろう。それは音質のためであることはもちろん、本体を小型軽量、さらに薄型にしようという意図もありそうだ。ケーブルはMMCXコネクターを採用しており、着脱可能。しかも2.5mm4極プラグのAKプレーヤー向けのバランス接続用ケーブルも付属する。これで男性ジャズボーカルを試聴したが、声はもちろん、ピアノやベースなどの各パートがぐっと濃くなるようだった。しかもそれぞれが嫌味なくひとつの空間で調和する。EDMではドラムスやベースの輪郭が明瞭。それぞれの立ち上がりも俊敏だ。女性ボーカルは声の優しさや温かみに加え、それを支えるバンドサウンドが立体的、かつ自然に表現された。 完成された粘りのあるスピーカーライクなサウンド。ダイナミック型の新たな可能性を切り拓く傑作イヤホンの誕生を歓迎したい。める3つの理由ベイヤーダイナミックが誇るテスラテクノロジーが搭載される「T12nd Generation」をベースにしつつ、ポータブル機でも再生できるよう32Ω仕様にした意欲作。第2世代に進化を遂げた「T1」を32Ωに低インピーダンス化Astell & Kern AK T8iE がAK×ベイヤー。強力タッグが生んだハイエンドのひとつの到達点Lineup耳甲介にぴったりと収まるように、世界中の人々の耳の形を計測。三角形かつ耳穴に向かうに連れてシェイプされた独自デザインを採用する。独自のシリコンイヤーチップも装着感がよく、スリムボディのため顔の輪郭から本体がはみ出さないのも好ましい。アステル&ケルンとベイヤーダイナミック両社のコラボは、お互いの目指すサウンドが同じことから実現したという。今回の取材もハイエンドプレーヤー「AK380」を使ったが、本機の実力をAK T8iEは余すことなく引き出した。耳型を測り実現した形状AKもベイヤーも目指す音はモニターサウンド理由理由23セミオープン型ヘッドホン\OPEN 投 票No.114AK T1pお問い合わせ:アイリバーサポートセンター ?0570-002-220 http://www.iriver.jp/ PREMIUM HEADPHONE GUIDE 87