ブックタイトルプレミアムヘッドホンガイド Vol.16
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プレミアムヘッドホンガイド Vol.16
ハイレゾの音を ピエゾ搭載 ダイナミック型の振動板を2枚同軸上に搭載 ついに第2世代のドブルベ「ヌメロトロワ」、 今年20周年を迎えたラディウスの高い技術 ハイレゾの魅力を余すことなく再現する両機 取材・文/高橋 敦 写真/阿部良寛 ラディウスから「ドブルベ」ハイレゾ対応モデル、「ドブルベ ヌメロキャトル(HP-TWF41)」「ドブルベ ヌメロトロワ(HP-TWF31)」が登場した。第1世代の「ドブルベ」は、中低域用と高域用とに「2枚の振動板」を同軸に配置し、磁気回路を共有化しつつ、ネットワーク回路でうまく帯域分割させることで「音のぬくもり」や「厚み」、「臨場感」を獲得した「Dual Diaphragm Matrix(DDM)ドライバー」を搭載し、発売当時大きな話題を呼んだ。その第2世代となるのが「ドブルベ ヌメロキャトル」「ドブルベ ヌメロトロワ」だ。こちらはDDMドライバーそのものが異なる。「2枚の振動板」という基本コンセプトは継承するが、特に高域振動板はダイナミック型とは全く別物の「セラミックピエゾ振動板」を採用する。 ピエゾとは電圧と振動を相互変換する圧電素子。楽器にも採用される技術で、音楽信号としての電圧を入力すればピエゾ素子が振動して音を発する仕組みである。そのピエゾセラミック振動板を高域用に搭載することでハイレゾ対応し、トロワには中低域振動板に直径13㎜のダイナミック振動板を採用。さらにキャトルには、トロワと同じ振動板にベリリウムコーティングを施し、解像感やシャ音づくりが異なる2つの兄弟モデループネスをさらに高めている。ただし企画意図としては、上位下位ではなくチューニング違いの兄弟機という位置付けとのことだ。トロワは従来のドブルベの流れを素直に受け継いだ音。キャトルは一歩踏み出した音づくりと、その役割、個性が分担されている。 実際、トロワの音調は実にドブルベらしい。肉厚な中低域やスケール感などは個性的ではあるのだが王道感のある個性と感じる。ピエゾの応答性のおかげか楽器のタッチや細やかな響きも描き込まれているが、それを突出させはしない。情報量は多いが聞き流そうと思えば聞き流すこともできる、しなやかさも持ち合わせる。その音楽的な自然さが「ドブルベらしさ」と思える。 一方、キャトルは解像感や情報量の出し方が明確だ。従来のドブルベらしさをオーディオにおける「古典的」な表現とすれば、キャトルのそれはより「現代的」な表現。たとえば無数のパーツで組み上げられたエレクトリックサウンドの、その配置の精密感やリバーブやディレイなど空間エフェクトの重なり、その構築美、細部に宿るこだわりに至るまでを楽しみたい。そういう方にはキャトルの方がフィットするだろう。HP-TWF31radiusSPEC ●型式:密閉・ダイナミック型+ピエゾ型 ●ドライバー口径:12.0mm(ピエゾ型)、13.0mm(ダイナミック型) ●再生周波数特性:10~40,000Hz ●インピーダンス:32Ω ●ケーブルの長さ:約1.2m ●質量:約17g ●付属品:イヤーチップ(XS/S/M/L)、クリーニングクロス、キャリングケース\OPEN 投 票No.131<ドブルベ ヌメロトロワ>78 PREMIUM HEADPHONE GUIDE