ブックタイトルプレミアムヘッドホンガイド Vol.17

概要

プレミアムヘッドホンガイド Vol.17

チューニングに参加！透明感が高く、シャープな音。中高域も伸びやかカリスマ的な人気を集める宮永氏がチューニングに参加中国プロ市場におけるシェア率70%を誇るお問い合わせ:ミックスウェーブ ?03-6804-1681 http://www.mixwave.co.jp日本限定モデル　この秋、注目のカスタムIEM（インイヤーモニター）のブランドが上陸した。中国深?（シンセン）に本拠を置くqdcだ。「春のヘッドフォン祭2016」では早速試聴機が登場し、その音質の高さを印象付けた。また、同イベント内のカスタムイヤホン座談会にはqdc代表のジンフン・リー氏が登場し、シェルへのこだわりの深さなど、音質以外への注目度も高まった。　ジンフン氏はエンジニアとして20年近く音楽産業にかかわるうちにカスタムIEMの開発に携わるようになったということだ。中国でのアーティスト愛用率はナンバー1で、70%を超える圧倒的なシェアを誇るという。つまり日本では新ブランドといっても、中国ではすでに名実ともにトップメーカーであるといえるだろう。　今回、そのラインアップのなかから、「3SH」、「4SS」、「2SE」のユニバーサル3モデルが日本国内で発売される。qdcの製品には数字が採用されているが、例えば3SHの場合、3=3ドライバー、S=スタンダード（ユニバーサルの意味）、H＝HiFi（音楽愛好家向け）という意味を表す。同様に4SSならば、4ドライバー、スタンダード、スタジオ向けという意味なので、おおまかな音傾向がわかりやすい。なおqdcの製品には独自仕様のBAドライバーが採用されている。　そして、この3モデルでも特に注目すべきは2SEである。2SEはバランスド・アーマチュア・ドライバーを2基採用したモデルで、中低域に1基、高域に1基の2ウェイ構成である。2SEは従来の型番の名付け方とは異なり、SEは「Special Edition」を表す。輸入代理店であるミックスウェーブの宮永氏がチューニングを行った日本限定モデルだからである。宮永氏は中国のIEMブランド、Unique Melodyの「MAVERICK」を共同開発した人物としても知られている。ヘッドフォン祭りで2ドライバーの試作機を宮永氏が聴き、4ドライバーのような低域の空気感、綺麗さを気に入り、チューニングに携わったという。カラーはAstell&Kernの「AK70」のミントグリーンにもあわせられるような色に仕上げたということだ。　その2SEをAK70とあわせて聴いてみた。2SEを手に取ると、実勢価格5万5千円前後という半透明のAK70のライムグリーンを思わせる美しい色のシェルは仕上がりも美しい。価格的にもAK70とはあわせやすいだろう。カスタムの先端部分が短い独特なデザインだが、コンパクトで装着感は快適である。ケーブルは独自の2ピンプラグを採用。ケーブルの接続プラグはプロ用を思わせるようにがっしりとして精度が高い。　音質は透明感が高く、シャープな音が特徴で、中高域はよく伸びて楽器の音再現もきれいだ。低域は適度に抑えた量感が上質のベースラインを再現する。低音域はタイトでパンチがあり、パーカッションの打撃感が気持ちいい。2ウェイイヤホンは低域が強すぎてボーカルが埋もれてしまうものが多いが、2SEはボーカルが明瞭に聴き取れる。中高域の美しさとあいまって女性ボーカルものを聴く人にはおすすめだ。さらに上級のハイレゾプレーヤーにもあわせられるようなポテンシャルも有する優れたイヤホンだといえる。開発用の設備が充実。ブリュエル・エアー社の音響振動実験解析システムも備える。ラボには無響室を備え、イヤーモニターの音響特性を精密に測定することができる。輸入代理店ミックスウェーブの営業担当で、中国のカスタムI E M ブランド「Unique Melody」の日本限定モデルのチューニングに携わる宮永賢一氏が「2SE」のサウンドを監修。中国の深?（シンセン）市に拠点を置くカスタムIEMブランド。10年以上に渡って、軍や警察向けにアプリケーションやオーディオデバイスを研究してきたノウハウ、数多くのミュージシャンやエンジニアたちとの強固なリレーションはqdcの強みのひとつ。ミュージシャンの要望に耐えうる高音質に一貫してこだわり続け、現在は中国のステージモニター用のカスタムIEMとして70%のシェアを獲得しているという。Unique Melody最大のヒットモデル「MAVERICK」のチューニングを手がけた宮永氏。ヒットの陰にカリスマあり。CHECKPREMIUM HEADPHONE GUIDE 105