ブックタイトルPREMIUM HEADPHONE GUIDE vol.18

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概要

PREMIUM HEADPHONE GUIDE vol.18

 「MrSpeakers」は平面磁界駆動型ユニットを駆使した大型ヘッドホンで高い評価を確立した米国のヘッドホン専業メーカーで、日本でも「ETHER」とその改良型の「ETHER FLOW」シリーズでファンを着実に増やした。平面振動板をひだ状に折りたたんで音響的な諸特性を改善する「V -Planar」技術で特許を所有しており、技術力の高さは疑いようがない。同ブランドを主宰するダン・クラーク氏はスピーカー設計の経験も積んでおり、素材の特性にも精通した音響技術者として高い信頼を得ている。ETHERシリーズはV-Planar技術の長所を引き出すために妥協のない設計を採り入れて大口径のドライバーを投入し、事実上インドア専用のモデルという位置付けだったが、新たに登場した「AEONFLOW」はV-Planarや流体力学を応用した「TRUE FLOWテクノロジー」など基幹技術を上位機種から受け継ぎつつ、小型・軽量化を図り、インドアだけでなく屋外にも持ち出せるサイズを実現。価格も一気に購入しやすいレンジに近付けて、平面磁界駆動型ヘッドホンの魅力を多くの音楽ファンに伝えることを狙っている。なお、ETHERは密閉型と開放型を選ぶことができたが、ここで紹介するAEONFLOWは気密性を高めた密閉型として設計され、用途を広げている。AEON FLOWの基本技術は従来通りと紹介したが、ドライバーやハウジング、ケーブルに至るまで完全な新設計で、外見も円形から逆三角形に大きく生まれ変わった。イヤーパッド側から見るとよくわかるが、この形状は耳の形に合わせたもので、ハウジングとイヤーパッドの加工精度を上げることで装着性を大幅に高めている点にも注目したい。実際に装着してみると328gという数字以上に軽く感じ、側圧を適切に分散しているためか、耳をすっぽり覆う形状の割に圧迫感が少ない。設計者によると、主要部品に金属を採用しながらここまで軽量に仕上げるためには苦労があったとのこと。2つのジンバルと回転ヒンジの構造をブッシングに変えたこともデザイン変更の重要なポイントで、シンプルかつ大胆なデザインを実現すると同時に軽量化にも貢献している。音質に与える影響の大きさでは、ドライバーの変更の方がハウジング形状の変更を上回るはずだ。今回は振動板のひだの間隔を0.127㎜まで狭めることに成功したと聞いているので、外見上の面積は小さくなっても、実際の振動板の面積は見かけほどには小さくなっていないのではないだろうか。  今回はプロトタイプを試聴したが、再生音は低域から超高域までポータブル用途を考慮してドライバーも新規設計した独自の平面磁界駆動方式を改良し、常に理想のサウンドを追求するMrSpeakers が、初めてポータブル用として開発をスタートした「AEON FLOW」。外にも持ち運べるサイズになった本機の魅力に、オーディオ評論家・山之内 正が迫る。取材・文/山之内 正 写真/阿部良寛SPEC ●型式:密閉・平面磁界駆動型 ●ドライバー:自社開発シングルエンド平面磁界駆動型ドライバー( with V-Planar?surface processing) ●能率:95dB/Wm ●インピーダンス:30Ω ●ケーブルの長さ:1.8m(3. 5mmプラグ) ●質量:328g ●付属品:標準変換プラグ、キャリングケース、低域調整用パッド\OPEN 投 票No.177平面磁界駆動型ヘッドホン(密閉型)MrSpeakersAEON FLOW〈イオン フロー〉プロトタイプの試聴ながらも完成への期待感が高まる音ついに登場! ファン待望の密閉型ポータブルAEON FLOW102 PREMIUM HEADPHONE GUIDE