ブックタイトルPREMIUM HEADPHONE GUIDE vol.18

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概要

PREMIUM HEADPHONE GUIDE vol.18

“マイ・ファースト Unique Melody”に最適見晴らしのよさや解像感を楽しみたい方にオススメ「いつかはUnique Melody(ユニークメロディ)」。イヤホンマニアから憧憬を集め続ける、中国IEMブランドから、新たなエントリーモデル「MACBETH II Classic」が届いた。カリスマ的人気を誇る宮永賢一氏による匠のチューニングにも注目だ。SPEC ●着脱コネクター: 2ピン ●付属品:イヤーチップ(シリコン: S/M/L、低反発: S/M/L)、キャリングケース、クリーニングツール ほかUnique MelodyMACBETH II Classic \OPENUnique Melodyは、日本に紹介された当初には、カスタムIEM(インイヤーモニター)黎明期に現れた「雨後の筍」のひとつにも思われていたかもしれない。しかし仮にそうだったとしても、挑戦的なドライバー構成とそれをまとめ上げる巧みなチューニングを次々と成功させてきた現在、その筍は今や強靭な竹林となった。「ほかのどれでもなくUnique Melodyのイヤモニがほしい」と憧れるユーザーも増えていることだろう。「MACBETH Ⅱ Classic」は、そのような潜在ユーザーに向けた「最強のエントリー」として登場した、「MACBETH」のポジションを継承する製品。だが継承するのは名前とポジションのみ。内部設計も外部デザインも音のチューニングもまったく新規のものだ。 ドライバー構成は「先代と異なる」とだけ明かされている。「ハイブリッド」としか明かされなかった先代と同様、エントリーユーザーにこそスペックではなく音だけを聴いてほしいとの想いからだろう。今回もチューニングに携わった国内代理店ミックスウェーブの宮永氏によると、ポートによる低域の調整などにこだわりがあるとのこと。 デザイン面ではハウジングの小型化が目立つ。先代は大柄で、装着性に支障はなかったが耳からの飛び出しが大きかった。ルックス的に気になる方もいたかと思うが、耳からの飛び出しが解消された。樹脂に混ぜられたファイバーによってランダムに生み出される、大理石のような雰囲気の文様もポイント。ファイバーを混ぜるため3Dプリンターは利用できずに手間のかかる旧来の製法で作らざるを得ないとのことで、ここにもこだわりが見える。 実際に聴くと、音色の密度感や濃さを持ち味としてパワフルな印象のあった先代と比べて、音の抜けや空間の広がりもしっかり感じられ、さまざまな要素のバランスを高めた印象を受けた。 そのため、密室的なダークさや唸る低音がほしいクラブサウンドなどには先代の方が合うかもしれない。しかし、ポップスやロックでは、ギターなどは左右にぱっと広がり、中央のドラムスやベースは滞留せずに心地よいアタックですっと抜け、余裕を確保された中央にナチュラルな声色のボーカルが明るく浮かび上がる、この新モデルの見晴らしのよさに惹かれる方も多いのではないだろうか。 また、「Robert Glasper Experiment」のようにヒップホップ的なビートを取り入れているサウンドでも、ベースやバスドラムのドゥンと沈む重みよりも、スネアのスカンッという抜けやハイハットシンバルの超絶な刻みを高い解像感で楽しみたいという方には、やはり「MACBETH Ⅱ」がハマりそうだ。「最強のエントリー」を継承しつつ、新たなサウンドも提示してくるという挑戦的な姿勢。その果敢なチャレンジも含めてまさにUniqueMelodyらしく、「はじめてのUnique Melody」にふさわしいモデルだ。投 票No.179マニアの登竜門・MACBETH文/高橋 敦106 PREMIUM HEADPHONE GUIDE