ブックタイトルPREMIUM HEADPHONE GUIDE vol.18

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概要

PREMIUM HEADPHONE GUIDE vol.18

?バランスド・アーマチュア(BA)型とダイナミック型のハイブリッド方式で多くの特許を持つフェンダー社ですが、今回はBAドライバーだけの搭載です。この構成を採用した理由を教えてください。デール・ロット氏(以下、敬称略)「フェンダーはミュージシャンが最適なパフォーマンスを発揮できるようにサポートすることが、カンパニーポリシーです。BAドライバーだけで構成したインイヤーモニター(IEM)を望むミュージシャンの声を受けて『FXA9』を開発しました。高域を1基、中域を1基、低域を2基、それからサブウーファーを2基の構成ですが、このサブウーファーが担う超低域をどのように仕上げるかが大きな課題でした。そこで内部の空気を逃がす『ポート』をつくることで、広がりのある音とより深い低音の表現を可能としました」。?「Groove-tuned?ベースポート」ですね?デール「はい、ハイブリッド型を開発してきた経験があるからできた発想です。今回はハイブリッド型では採用していない「クロスオーバーネットワーク」を用いて、音の位相や歪みの問題を解決しています。ネットワークは高域と中域のみに使用し、サブウーファーには小部屋(チャンバー)をつくり、低域との繋がりを整えたほか、さらにポートを使って全帯域の位相やハーモニクスの問題解決をした結果、自然な音の繋がりを実現しています」。ジム・ナインスリング氏(以下、敬称略)「そのため、今回のドライバーユニットは『FXA9』のために開発し、新たにチューニングしたものです」。?小型筐体に6つのドライバーを入れるのは大変だったのでは?デール「3Dプリンターを使ったことが非常に大きく寄与しています。今回は低域とサブウーファーの間に、低音を増幅する小部屋(チャンバー)を設けた設計を採用しましたが、その大きさはマイクロスコープを使ってようやく確認できるレベルです。そのくらい精密に筐体をつくり込めたので、無駄なくドライバーユニットを配置でき、小型化に成功したのです」。ジム「金型でハウジングを成形すると、精度の問題でどうしても無駄な隙間ができ、そこに溜まった空気が音に悪影響を及ぼします。ホー楽器メーカーである「FENDER」からインイヤーモニターが誕生して1年。日本でも好評だったラインアップに、フラグシップモデル「FXA9」が登場した。今回、アメリカ本国の商品企画の最高責任者、ジム・ナインスリング氏と、開発を担当するデール・ロット氏に開発秘話を伺うことができたのでお届けしたい。取材・構成/編集部「FXA9」誕生秘話商品企画の最高責任者、ジム・ナインスリング氏(左)と開発担当のデール・ロット氏(右)。フェンダーのフラグシップマルチBAを採用したのはミュージシャンのためFENDER 開発者にインタビュー108 PREMIUM HEADPHONE GUIDE