PREMIUM COMPACT AUDIO GUIDE vol.5

PREMIUM COMPACT AUDIO GUIDE vol.5 page 43/76

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39このエルネストローネはUSBを介してハイレゾの再生も可能だ。そのスペックも96kHz/24bitまでと十分な対応力といえる。 さて、エルネストローネはプリメインアンプだから、あとはスピーカーがあれば音が出せる。今....

39このエルネストローネはUSBを介してハイレゾの再生も可能だ。そのスペックも96kHz/24bitまでと十分な対応力といえる。 さて、エルネストローネはプリメインアンプだから、あとはスピーカーがあれば音が出せる。今回選んだのは、エラックの「BS192」。このブランドはドイツを拠点に90年近くも続いている老舗。とはいっても、使用する素材や、構造、形状などにおいて常にイノベーションを追求する姿勢を貫いているのが頼もしい。長い歴史に漫然とせず、次々と繰り出される新製品に、いつもはっとさせられる。この「BS192」も小型だが、エラックのエッセンスが詰まった逸品だ。JETと名付けられ、高級モデルにも採用されている高音域を担うトゥイーターは、JET Vextra versionとしている。またウーファーの振動板にはアルミニウムとパルプを巧みに貼り合わせたAS CONE。軽くレスポンスに優れ、かつ強度が高いのが利点だ。ちなみにエラックのスピーカーはいくつかのシリーズにわかれており、本機が属するのは「190LINE」である。他にフロアスタンディング型の「FS197」やホームシアター用のセンタースピーカー「CC191」がラインアップされている。これらの下位に「50LINE」も用意。「BS192」と同じブックシェルフ型の「BS53.2」はペアで6万円を切るハイコストパフォーマンスモデルである。エルネストローネと「BS53.2」の組み合わせも有効だろう。しかし、ここはエルネストローネ自体のポテンシャルや、ハイレゾらしさ、さらにエラックの醍醐味(特にJETの威力)を実感するため「BS192」を使用した。 前置きが長くなったが、ハイレゾファイルを再生しよう。オルガンを中心としたジャズトリオ、AQUAPITの『Orange』、96kHz/24bitのFLACファイルである。興味深かったのは、マイルドで暖かみがある音色なのだが、サウンド全体が決してぼやけないところ。また、ギターのカッティングやドラムスのシンバルさばきなどの細かなニュアンスが伝わってくるのも面白い。そのため、抑揚やグルーヴをしっかりと感じることができた。次に聴いたのはデイビッド・ボウイの新作『The NextDay』。このアルバムでは音場の広さや余韻の美しさを味わえた。ボーカルをメインとしたバンドサウンドならではの立体感も十分。こうした情報量の多さはハイレゾの真骨頂。アンプもスピーカーもコンパクトだが、そこから放たれる音は、部屋の隅々にまで満ちてゆくようだった。 こうして音楽に浸っていると、重厚長大なオーディオとは別次元の世界が開けてくるように思えた。普段の生活とすんなりとなじむサイズ。それは大きなものを、簡略化したものでは決してない。また、前述のように音質や機能も申し分ない。たしかに、プライスだけをみれば高額かもしれない。だが、これからのオーディオライフを見通せば、きっとこれらの価値が際立つことだろう。