ブックタイトルPREMIUM COMPACT AUDIO GUIDE vol.06

概要

PREMIUM COMPACT AUDIO GUIDE vol.06

音楽が持つ濃淡や陰翳までまろやかに再現これから紹介する、イタリア生まれの「Tube P.P」は、３つのボディで構成されている。ひとつは天面から真空管（Tube）が突き出たルックスのプリアンプ。これは「FABRIZIOLO」という名称で既に販売されているものだ。単体でヘッドホンアンプとしても使える。あとはパワーアンプの「DIEGOLO」で、これが２つの筐体にわかれている。プリアンプからの入力と、そこからスピーカーを駆動させるためのパワーを増幅するパーツがそのひとつ。もうひとつは、スピーカーとつなぐ端子を備えたものだ。このようにプリ部とパワー部を別筐体にすることは、ハイエンドオーディオの発想そのものだ。信号の干渉やノイズの混入といった音質を損なう要素が低減できる。そればかりか、両者をつなぐケーブルを吟味することで、音色の変化を楽しむことも可能だ。さらに筐体への電源供給を別々に確保することで、クリーンかつパワフルな駆動も期待できる。これだけのこだわり仕様で、実勢価格は\59,800前後となっている。Tube P.Pの入力はアナログ２系統。今回はハイレゾ対応ポータブルプレーヤーのヘッドホン端子と接続した。入力した音楽信号はFABRIZIOLOの真空管で増幅される。それをステレオミニジャックケーブルを用いてDIEGOLOに送る。面白いのは、それとスピーカー端子部とをつなぐのがLANケーブルであるということ。設置スペースに合わせてその長さが調整できるから便利だ。たとえば、スピーカー端子部だけ、スピーカーの近くに置き（しかも、小さいから目立たない）、あとはボリュームなどの操作部だけを手元に置くといった使い方ができる。DIEGOLOの出力は12W（４Ω）で、このサイズにしては十分なパワー。試聴には、ドイツのスピーカーブランド、エラックの「BS52.2」を使用した。小型の２ウェイブックシェルフで密閉型。同社のキーフィーチャーであるJETトゥイーターこそ積んでいないものの、高級機で培った技術やセンスはたっぷり詰まっている。それなのに、ペアで\45,000というお買い得モデルだ。Tube P.Pとつないで\100,000前後。この組みあわせなら、コンパクトかつハイコストパフォーマンスなシステムCarot OneTube P.P(FABRIZIOLO+DIEGOLO)\OPEN投票No.079SPEC＜真空管プリアンプ／ヘッドホンアンプ（FABRIZIOLO）＞●入力端子：アナログ音声（RCA×1、ステレオミニ×1）●出力端子：アナログ音声（ステレオミニ）、ヘッドホン●外形寸法：67W×80H×125Dmm●付属品：電源アダプター、3.5mmステレオラインケーブル、3.5mmステレオミニ?RCAステレオケーブル、真空管（6DJ8/6922 series or 12AU7 series）＜真空管パワーアンプ+スピーカーターミナル（DIEGOLO）＞●出力：12W×2●入力端子：アナログ音声（ステレオミニ×1）●外形寸法：67W×27H×118Dmm（アンプ本体）、67W×27H×41Dmm（スピーカーターミナル）●付属品：電源アダプター、LANケーブル（50cm）(FABRIZIOLO+DIEGOLO)イタリア生まれの個性派魅惑の真空管オーディオヘッドホンでもスピーカーでも、「いい音」をゆったりと楽しみたい。そんなあなたに、イタリアらしい個性的なデザインと真空管オーディオの楽しさをコンパクトにまとめあげた逸品「TubeP.P」をご紹介しよう。文／中林直樹38