ブックタイトルPREMIUM COMPACT AUDIO GUIDE Vol.12

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概要

PREMIUM COMPACT AUDIO GUIDE Vol.12

で、いわゆる秘境盤はほとんどないです。相応の価格で販売されているので、掘る楽しみはなくなりました。その代わりに、レコードを買い続けたことで、様々なショップと知り合いになっています。僕は北欧によく行くのですが、海外ではそうしたつながりを大切にしています。ただわからないものに関しては、端から端まで全部買っちゃいます。これを“貴公子買い”といいます(笑)。ーレコードならではの楽しみですね。音楽ストリーミング配信とは少し異なりますね。須永 はい。ただ僕はデジタルに偏見はありません。配信には配信のよさがあるので、使いわけたらいいと思います。DJの場合もデジタル音源しか出ていない曲があったり、機材がデジタルしか対応していないケースもあったりします。“箱”によっても音源は使いわけます。ー会場の違いで音源を?須永 DJの常識として大きな“箱”の場合は、高レートの音源以外はかけてはいけない、という暗黙の取り決めがあります。レコードとCDと音の出方を比較すると、実はCDの方がよくて、レコードにはレコード用の機材セッティングを行わないと、アナログのよさが引き出せないからです。基本的にPCでプレイすることを前提としてサウンドデザインされているクラブが最近は多いように思います。ーホームリスニングでも、セッティングで音が変わりますか?須永 機材の良し悪しもあるでしょうが、やはりレコードのカッティング状態が音に大きく影響しますよね。ハイエンドの機材を使えば使うほど、録音の状態が丸裸になるイメージです。しかも、国によってレコードのプレスは特徴があります。音の酷いペナペナのものもあれば、300g以上の高級志向もある。印象的だったのは、個人的に一番の優秀録音盤であるスティーリー・ダンの「aja」を、ハイエンドシステムで聴いた時「音がCDっぽい」と感じてしまうくらいに録音のよさを実感しました。僕が思うのは、CDはスピーカーまでストレートに情報を伝える媒体なので、少し正直すぎるんですよね。しかし、レコードはシールドと電源の違いで音が変わります。その情報が錯綜してしまう部分がレコードらしい空気感につながっていると思います。ただそれでも最低限の忠実さは残しておきたいので、ターンテーブルとカートリッジはできる限り相性を考えて使うべきです。ー自宅ではどのような機材をご使用に?須永 DJの基本、テクニクスのSL-1200です。カートリッジはパイオニアDJの「PC-X10」との組み合わせが優秀ですね。針飛びがしにくく、解像度が抜群。加えて音圧も高いですね。ダンスミュージックにも古いレコードにも対応する再生能力を持っています。ー機材には、そうした組み合わせる楽しさがあるのですね。最後の質問です。須永さんにとって、レコードを一言で表現すると何ですか?須永 レコードは音楽を再生するメディアですが、パッケージもそうだし、触れることもできる。1枚で完結する総合芸術だと思っています。ですので今所有している盤も、芸術品を預かっているという感覚でいます。然るべきタイミングで信頼できる人、ショップにお戻しします。ー図書館に寄贈するような感覚?須永 そうですね。でも物欲はあるので、極力手元に残しておきたいですけどね(笑)。ー貴重なお話、ありがとうございました。New ReleaseBS-TBSの人気番組「吉田類の酒場放浪記」番組のエンディングを飾るエイモス・ミルバーンの『Bad BadWhiskey』と『One Scotch,One bourbun,One Beer』を吉田 類が日本語詞を書き下ろした7インチ・シングル。7インチ・シングル「Bad Bad Whisky/One Scotch, One Bourbon,One Beer」吉田 類\2,500(税抜) ※限定500セットEvent Information須永辰緒氏がプロデュースする音楽フェス。国宝鑁阿寺( ばんなじ)を背景に、jazzyな音楽とグルメがコラボ。飲んで食べて踊れる大人のフェス。詳細はhttp://vanamusic.jp/まで。「ばんな寺MUSIC FESTIVAL 足利」BiographySunaga t experience =須永辰緒によるソロ・ユニット含むDJ/プロデューサー。 DJプレイでは国内47都道府県を全て踏破。また北欧=日本の音楽交流に尽力、世界各国での海外公演多数。MIX CDシリーズ『World Standard』は12作を数え、ライフ・ワークとも言うべきジャズ・コンピレーションアルバム『 須永辰緒の夜ジャズ』は20作以上を継続中。アナログ啓発活動としてヴァイナルのみのリリース?シングルなども続く。須永辰緒 (Sunaga t experience)2017/5/13(SAT)Analog Record Style 004-005機材によって音が変わる組み合わせもこだわるべし