ブックタイトルPREMIUM COMPACT AUDIO GUIDE vol.13

概要

PREMIUM COMPACT AUDIO GUIDE vol.13

　デジタル全盛の今日、「アナログ」というと旧世代の技術というイメージがあり、中でもアナログ・カートリッジの老舗というと、昔ながらの技術を伝承した工房を思い浮かべる人も多いのではないか。ことデンマークのオルトフォンに関しては、その見方は当たらない。同社のルーツは、無声映画全盛の時代に「音の出る映画」の映写システムを開発する会社にある。初期の映画サウンドトラックは光学式が主流で、音溝を針で読み取るレコードとは方式は異なるが、メディアに収録された信号を正しく音声信号にするという過程は共通だ。その点において同社は文字通り100年間に渡り、音を正確にピックアップすることで、映画・音楽産業に貢献し続けているのである。　その後、マイクロホンや測定器なども開発するなかで転機となったが、レコード製作用カッターヘッドだった。実はその検聴用に製作したオルトフォンのモノラル・カートリッジが先駆となり、MC型のカートリッジが世界的に普及したのだ。さらにその10年後に「SPU」が誕生。初のステレオ・カートリッジで、強力なアルニコ磁石による磁気回路の中に、正方形のコアへ巻きつけられたコイルを45度回転して配置する発電方式と、極めてシンプルで合理的なサスペンション回路は、現在もなお世界各社におけるMC型カートリッジの絶対的な主流を占める構造となっている。60年前のモデルにして高い完成度を持っていたのだから、伝説になるのもある意味で当然といえよう。初号機からSPUを長く手がけた開発者ロバート・グッドマンセンのエンジニアとしてのセンスの冴えに、いまさらにして強く感銘を受けざるを得ない。　同社は近代になると、ダイヤモンドの研磨技術や様々な高分子、医療機器の開発分野にも進出。2010年には骨伝導の補聴器を開発する部署が分社化するなど、創業当時からの技術志向は現在も変わらない。そしてそうして培われたプロ用の高分子やゴムの開発・製造技術は、カートリッジやアームの音質を支えてもいる。好ましきフィードバックといえよう。オルトフォンの歴史はすなわち、カートリッジの歴史お問い合わせ：オルトフォンジャパン　?03-3818-5243　http://www.ortofon.jp/Analog Record Style 012-013デザインは「2M Red」と共有化をはかるが、針先は接合針から無垢（どちらも楕円針）に変更された。音質は一聴して明らかに異なり、より音場が澄み渡りレンジは両端へ拡張、北欧的な深みも濃くなった。無垢針の高品位機「2M Bronze」から、発電回路の巻き線が純銀メッキの無酸素銅に変更された。スタイラスは無垢のラインコンタクト・タイプで、両者の相乗効果によってMM型としては驚異的な29kHzの高域再生を実現。高域再生をさらに高めた本機一番の特長は、針先に“シバタ針”を採用したことだろう。世界の名だたる高級カートリッジが採用する日本の銘品である。円柱状のマグネットを用い、支点が明確化された同社MM型の真骨頂が味わえる。シバタ針搭載の最高級機2M Blue\25,000（税抜）SPEC ●適正針圧：1.8g ●自重：7.2g2M Bronze\45,000（税抜）2M Red SPEC ●適正針圧：1.5g ●自重：7.2g\13,000（税抜）SPEC ●適正針圧：1.8g ●自重：7.2g入門機と侮れない深みのある音オルトフォンはアナログ全盛期に「VMS型」と呼ばれるMMポジションの発電回路を用いてきたが、後にMM型の発電回路を新たに設計し、2007年にHi-Fi用として登場したのが「2Mシリーズ」である。「2M Red」は4 種類あるステレオLP用のベース・グレードで、1万円少々で購入できる廉価品だが、その実力を侮ってはならない。同クラスの中では際立ってワイドレンジで高解像度の表現を得つつ、オルトフォンに特有の北欧の森を思わせる音楽の深み、渋みを聴かせるのだから、本機はただものでない。オルトフォン入門として広く薦められるし、交換針は8,400円と至って廉価で、また簡単に取り替えられるから、日常的に使いやすいのがうれしい。MM型として新たに開発、デザインした「2Mシリーズ」発売。補聴器業界に部品提供。数々のマイクロ製品が世界的に認められる。2010不滅のオリジナル「SPU」を再現した#1を発売。2016創業100周年を迎える。現在もデンマークのナクスコウに構える工場では、カートリッジに使用するコイルの生産をはじめ、アッセブリーなどはハンドメイドされている。完成後は聴覚で検査するなど、その管理体制も徹底されている。20182M Black\78,000（税抜）SPEC ●適正針圧：1.5g ●自重：7.2g2007同社初のイヤホン「e-Q7」を発売。2009MM方式投 票No.114投 票No.115 投 票No.116 投 票No.117